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キャリこれ

eラーニング「キャリアデザイン」 開発者の裏ばなし

調査研究

開発

2020.10.29


みなさんこんにちは。
私たち日本マンパワーでは、年に複数の研修やセッションを開発しています。その中でも、コロナ禍において誕生した「キャリアデザイン」のeラーニングはかなりの力作なので開発裏ばなしをぜひお聞きください。
このeラーニングですが、なんと人事の方々の満足度は99%!
次のようなありがたいコメントを多数いただきました。
<人事の方々の声>
「それぞれの登場人物が共感しやすく描かれていて、見ごたえがありました。よく出来ていると思います」
「物語の力を実感しました。多くの社員に見てもらいたいと思いました」
「理論的な解説、ワークシート、ドラマによってバランスよく構成されていて、効果的にキャリアを学べる教材だと感じました」

今回は、開発の中心メンバー3人による対談形式で開発秘話をご紹介します。

<対談インタビュー>
左)脚本:栗山宗大(くりやま むねひろ)氏
代表作品「惑う After the Rain(2016)」「ふるさとがえり(2011)」地域づくり総務大臣表彰受賞
中)日本マンパワー開発主担当:嶋美乃(しま よしの)
右)日本マンパワー開発主担当:水野みち(みずの みち)

eラーニング開発の経緯

水野:もともと、このeラーニング「キャリアデザイン」は、コロナ前から構想にありました。しかし、キャリア開発研修で体感できる良さをどこまで教材として落とせるのかという疑問も。ですので、開発するならば、どうしても人のストーリー、「物語」を組み込んだものにしたいという願いがありました。
私は映画やドラマが大好きでよく見るのですが、内的キャリアというものを概念的に専門家が何度も説明するよりも、「物語」で示す方が100倍心に響きやすいという感覚がありました。そんな中、R社からeラーニングのご相談を頂き、今がベストなタイミングだと思い着手しました。そして、兼ねてからドラマを作るなら優れた脚本家の力をお借りしたいと思い、栗山さんにお声がけいたしました。
栗山さん:はじめて本件の相談を頂いたとき、今回はすごく戸惑いがありました。僕だけでなく、企画に関わる方にとってそうだと思うのですが。正直、キャリア開発研修はやっぱりリアルがいいんですよね。人の琴線に触れ、自分の内面をじっくりと味わう場ですから。このキャリア開発研修を映像化しても、こぼれ落ちていくものが多いと感じて。単なるティーチングコンテンツではだめだなと。
水野さんがおっしゃったようなストーリー教材にする必要があると思いました。そして、視聴者と同じ目線でキャリアを学び自分を見つめる3人のストーリーを提案させて頂きました。心のありようや出会いの中で感じられる人間くささをリアル研修と同様に生み出したいと思ったんです。
<eラーニングの登場人物>
まぁ、そこからが大変だったんですけど(笑)まずはそこを合意出来たことが成功の要因だったと思います。いくらストーリーが良いといっても、なかなか踏み出さない人も多いんですよね。でも、ストーリーの価値にコミットしたところが水野さんや日本マンパワーのみなさんのこだわり、すごさですね(笑)。

現場の生の声を入れる、葛藤を描く

水野:ありがとうございます(涙)。ストーリーの展開については2つのこだわりがありました。1つは、現場の生の声を入れていくということ。例えば、キャリアの研修現場では「こんなに仕事が忙しい中で、なんでキャリアの研修なんかをわざわざ入れるんだよ~」としぶしぶ教室に入ってくる方もたくさんいます。その声を無視して先には進めないのです。リアル感を入れたかった。登場する50代の久保さんの乗り気じゃない態度はまさにそのリアルが再現されています。そして、2つ目は、「ゆらぎ」や「葛藤」を入れていくということです。すんなり入ってくるものじゃなく、葛藤しながら、気づいたら点が線でつながっていたと感じたり、これまで見えなかったものが見えてきたりするのがキャリアだと考えます。
栗山さん:実は、映画だろうがドラマだろうが、映像制作の専門学校で習うストーリーテリングの基礎は、まさに「劇的欲求」「葛藤(対立/障害)」「解決」の3つ。これが古今東西名作の方程式だと言われています。
嶋さん:劇的欲求とはどういうことですか?
栗山さん:例えば、ロミオとジュリエットで言うと「愛し合い、結ばれたい」二人が現れます。欲求です。しかし、結ばれない。家の事情があって結ばれない葛藤があるからドラマになるんです。「脚本は葛藤9割!」だという言葉を聞いたこともあります。
そして、もうひとつ大切なのは「世界観」です。その世界観にリアリティがあるかどうかです。それが、水野さんや嶋さんが加えてくれた「あるある」の現場感です。世界観を強度あるものにすること。ここは自分の持っている生半可な知識ではなく、現場のリアルな声を受け容れていくプロセスを大切にしています。脚本家は時にリアリティを受け容れにくくなる時もあるんです。プロットに引っ張られて。でも、そこを受容し、融合させていく。例えば、キャリアデザインに全く興味のない久保さんと、少し興味あるなという橋本さん、とりあえず受けてみようという上田さんという3つの声をしっかり登場させ、そこに「もやっ」とした「なかなかはじまらない感」という出会いの入り口を描きました。
嶋さん:私も、橋本さんのリアリティにはこだわりました。はじめ、橋本さんは仕事かプライベートかという葛藤が描かれていたんですが、女性のキャリア上の葛藤がその二択で語られやすいことに違和感があったんですよね。そこに、どうもリアリティが感じられなくて。今の女性の実感としては、どっちかじゃなくてもう少し複雑な心境だと思うんです。橋本さんがAIのヴィーヴォに「自分はどうしたいの?」と問いかけられるシーンがあるんですが、まさに、自分がどうしたいのかを見失っている。周囲からの期待に応えたいけれども、どこか窮屈で息苦しくて。失望されるのは心底怖いけれども、自分の願いの声も無視できず、耳を傾けるという葛藤の方がリアルだなと思ったんですよね。
栗山:3人のキャラクターは私たちでしっかり練ることが出来て、生きた人物になりましたよね。この3人はヒーローでもヒロインでもなく、分かりやすく、側にいる誰かさんになったのが良かった点だと思います。
対してヴィーヴォというAIの登場も良かったですよね(笑)
水野:リアリティという点で私もこだわったのは、「キャリアは必ずしも願ったとおりにならない」という展開です。思い通りにならない異動、こんなはずじゃなかった感、も盛り込むことにはこだわりました。これは、ネガティブな意味ではなく、葛藤は成長につながるんだというメッセージも入れたかったからです。

人が共感できるのは、もがいている姿がある時

栗山:僕が作品をつくる際、性善説に立ちすぎないように気をつけています。正論を言われても、なんだよってなるのが人なんですよね。でも、そういう人たちが共感できる時って、もがいている姿がある時なんですよ。ぎりぎりね・・・。こうしたいけれども、上手くいかない、そんな中で何かを見出そうとしている姿です。僕はストーリーテリングの文脈で葛藤と言っていますが、水野さんはキャリア発達の視点で葛藤を見ているんでしょうね。
水野:なるほど・・・さらに栗山さんの脚本で素晴らしいのは、展開の中にしっかりと空間がある点だなと思うんです。余韻や「ため」というのでしょうか。上田さんが後輩とのからみでとまどうシーン、久保さんが黙って窓の外を眺めるシーン、橋本さんがヴィーヴォに問われてすぐには答えられないシーン、など、まさに想像を掻き立てる場面だと思うんですが、そこに明確なセリフは入れない。それによって見る人が、自分の想像で埋めたくなる衝動が起こるんじゃないかなと思いました。
嶋さん:そう、セリフは語り過ぎない方が、重ねやすいんですよね。語り過ぎると見ている人にとっては「自分ではない他者」になってしまう。微妙に語ってないんですよね(笑)
栗山さん:はい、そこで想起できるんですよ。

ナビゲーターAIヴィーヴォの誕生

水野:もうひとつの見どころはAIのヴィーヴォですね。なぜAIを思いついたのか、教えてください。
栗山さん:ナビゲーターでよくあるのは、スーツ姿の女性なんですよね。まぁ、「お前は誰やねん!」ってなりませんか?それ、場のエネルギーが下がりますよね(笑)。テーマはキャリアですから、誰がいいんだろう?と悩みました。仙人?子供?などの意見も出ましたよね(笑)。AIは、映画では人を乗っ取る存在としても描かれやすいのですが、AIの方が人の良さを客観的に語れるんじゃないかと思ったんです。なぜなら、人間じゃないので。
水野:はじめ、AIのヴィーヴォはややドライなザ・AIっぽいキャラクターだったんですよね。でも、栗山さんの奥様が「冷たすぎない?」と言ってくれて。それで、しっかり、軸を持ったカウンセラーにしたという・・・笑。
栗山さん:あはは(笑)僕は、脚本を仕上げる上で、とにかくいろんな人に意見を聞くことを大切にしています。人に見せることをしっかりやるようにしています。切られるような感覚もあるんですけど、色々なものが入ってくるんです。
妻は、「教えてくれる、導く人っていう発想はもう古いんじゃない?」と言うんですよね。それより、自分を信じて愛を持って寄り添ってくれる人こそ、自分だったら必要とすると言うんです。確信をつきすぎていてイラッとしましたけれど(笑)ヴィーヴォを愛の存在にしました。だから、ヴィーヴォは一緒に揺れるし、寄り添うんですよね。
水野:ヴィーヴォは評判いいです。ヴィーヴォに相談したい!とおっしゃる方がいるくらいです。そして、ヴィーヴォの好意的関心に根ざした問いかけにはよどみがないんです。相手を一切疑わず、相手の中に「ありたい自分のエネルギー」があることを信じている。それにしても、家庭で奥様に相談する栗山さんがいいですね(笑)
栗山宗大 Munehiro KURIYAMA

脚本家 / 二児の父 / 社会起業家

略歴
早稲田大学大学院 「参加のデザイン研究所」 招聘研究員(2012-2014)
明治学院大学社会学部 非常勤講師(2016)
川崎市立川中島小学校 「映画の授業講師」(2006-2019)
全国公民館連合会 映像コンテンツアドバイザー

1978年、東京都生まれ。 全国各地で1500回以上のロングラン上映を続ける「ふるさとがえり」(11)をはじめ、共創・共生をテーマとした映画文化事業の企画・脚本を手がけている。
2003 年に創業したものがたり法人 FireWorksは地方自治体や地域住民との映画協働事業を開発・展開。その取組みが日経地域情報化大賞 MJ 賞や地域づくり総 務大臣表彰を受賞し、新たな映画づくりの可能性を示した。
最新作は「惑う After the Rain」 (16)、三世代に渡る家族の物語を通じて、丁寧な暮らしのありよう、地域における教育文化の本質を問いかけている。本作は『ユニバーサル多文化映画祭(Universe Multi Cultural Film Festival 2017)』にて長編部門グランプリ(最優秀作品賞)を受賞。普遍的な人間ドラマを、丹念な取材、独特の構成力で描く脚本家である。
企業ブランディングや組織開発の分野においては、ストーリーテリングの手法を活かしたコンテンツ開発、プロジェクトデザインを専門としている。
夢はラジオのパーソナリティ。毎朝、箒と雑巾で家を磨くことが趣味。

対談はこの後さらに20分ほど続きました・・・開発のプロセスを振り返る良い機会でした。

最後に・・・
開発にあたってはここでは書ききれないくらい多くのメンバーの協力があります。
エキストラ出演や撮影・編集に携わってくれた第1営業部の鈴木一保さん、肝付暁良さん、大恵英樹さん、綿島京子さん、佐川幸平さん、山下美紀さん、ソリューション企画部の須田裕子さん、中溝麻美さんなど、みなさんのチームワークがあってこその商品です。

このeラーニングが、出来るだけ多くの方にご視聴いただけることを願っています。

本eラーニングのお問い合わせ先:
貴社営業担当
又はソリューション企画部
03-5294-5065(平日9:00~17:30)
※個人への販売は現在行っておらず、検討中です。