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“人間性の発揮”がキャリアのこれからにどうつながるのか ~1月15日設立記念イベント紹介~

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2020.12.22

~改めてこの時間も誰かの命のために身を削ってがんばって下さっている医療従事者の皆様にこの場をお借りして日本マンパワー一同心より感謝申し上げます~
さて、この度1月15日に「キャリアのこれから研究所」の設立記念イベントを開催します。
ぜひたくさんの方とつながりたく、ここでは、設立記念イベントに込めた想いを、企画者の私(日本マンパワー 水野)からご紹介させていただきます。

人間性の発揮と成熟した社会

 1月15日の設立記念イベントでは、「人間性の発揮と成熟した社会」をテーマにしました。20年程前(当時の上司であった)日本キャリア開発協会(JCDA)会長・立野さんが「キャリアカウンセリングを通して人間性の発揮を促すんや!」と言ったのを昨日のことのように覚えています。キャリアカウンセリングは転職・就職支援と捉えられることもありますが、自分にとっては人間性の発揮を促す取り組みだと思っています。
 人間性とは何でしょうか?2020年、私たちはコロナ禍においてこれまでの日常を失い、容赦ない変化や世界の分断を目の当たりにしました。私も、驚きや悲しみを前に嘆く余裕もないまま、日々に対応すべく追われていました。ニュースを見ると不安を煽る言葉や攻撃であふれていて、それもまた人間らしい防衛反応なのかもしれないと思いつつも、どこか出口のない徒労感を持ちました。不安や恐れは、人を引きずり込む不思議な力があります。それに抗うかのように心は純粋なものを求め、自然やアート、丁寧で温かいものに身を寄せたくなりました。仕事でもこれまで以上に目に見えない「つながり」に価値を感じ、これも人間性を感じる瞬間でした。
 そんな中、SNSでこんな記事を目にしました。米国で勃発した反人種差別デモについて、子供を守る黒人男性のセリフです。「差別であふれるこの社会においても、自分は人間性を諦めたくない」と。また、同時期にオンラインで開催された心理学系の世界大会にて、とあるプレゼンターが「(様々な課題に絶望しながらも)それでも人間だということに誇りを持ちたい」という願いを口にされました。私は、これらの言葉に深く共感するとともに、自分なりの強い想いを持ちました。コロナをただの出来事で終わらせることもできるかもしれませんが、できれば、大切な問いをもらった転機として次の時代につなげたいと願っています。イベント案には、キャリアのこれから研究所のコアメンバーもすぐに合意してくれました。また、登壇者のみなさんもこのテーマには共感してくださり、サビカス博士は無償で良いと些少ながらも用意した謝礼を辞退されたほどです。

人間性とは“ありたい自分の姿”なのではないか

 みなさんは、どんな時に人間であることの素晴らしさを感じますか?動物やAI、機械と比較して人間性を考える人もいます。人間性回帰を意味するルネッサンス、マズローやロジャーズなどに代表される人間性心理学を連想する人もいるでしょう。わずかな可能性だとしても強い想いにかけるイノベーターの姿、限界に挑むスポーツ選手に人間性を感じる人もいるでしょう。自分なりの意味を紡ぎ出して統合し、取り込むナラティブの力もまた人間のなせる技です。「仏性」という、万物に仏の心が宿るという意味の言葉も大変人間らしい気がしています。人間性のエネルギーとして「ありたい自分」は誰もが持っているものだと思っています。
今回の記念イベントはキックオフとして、参加者のみなさんとこの問いをもとに2021年とその先に向けた一歩をふみ出していきたいと願っています。
インスピレーション映像では、様々な領域の5人にインタビューをさせて頂きました。以下はインタビューをした順番に掲載します。さらに詳しい予告編は個々の人物ごとにお届けしていきます!
<インスピレーション映像登壇者>

玄侑 宗久(げんゆう そうきゅう)氏

臨済宗の僧侶。芥川賞受賞作家。東日本大震災復興構想会議委員。作家でもある玄侑さんは、心に染み入る言葉で様々な叡智をお話くださいました。ややもすれば極端に走りがちな今の私たちに、緩めること、両方の極を見ること、多様さを楽しむこと、ご縁の尊さに感謝すること、自然界の知恵を敬うことなどを教えてくださったように感じます。

小松美羽(こまつ みわ)氏

国際的現代アーティスト。狛犬をはじめとする神獣をモチーフにした作品で知られ、2020年の24時間テレビ・愛は地球を救うの「チャリTシャツ」が印象的だった方も多いのではないでしょうか。大英博物館にも展示されるほど世界的評価は高く、大迫力の作品には魂が揺さぶられる感覚があります。著書『世界の中で自分の役割を見つけること』では小松さんのリアルな体験と社会への願いが込められています。小松さんが大切にする「大和力(やまとぢから)」とは、「日本らしさ」という意味ではなく、全てを包み込み融合する力を表現しています。文化や歴史、思想の違いを超えて豊かな和で統合し、拡張すること。これは、私たちに改めて社会の姿を問うきかっけを与えてくださいました。

立野 了嗣(たつの りょうじ)氏

日本キャリア開発協会(JCDA)会長。日本のキャリアカウンセリング普及啓発に貢献。現在2万名以上が所属するNPO日本キャリア開発協会の創立者。NPO日本キャリアコンサルティング協議会初代会長。「経験代謝」の提唱者。昔から立野さんは誰よりも情熱をかけて日本のキャリアカウンセリングの普及に力を注いで来られました。それを支えてきたのは、立野さんの「成熟した社会を実現させたい」という心からの願いです。

マーク・サビカス博士

いま最も注目されるキャリアの理論家の一人。21世紀にふさわしい理論として「キャリア構築(構成)理論」を生み出し、実際のカウンセリング場面を公開するワークショップでその姿を見た人は「サビカスの魔法」と評しているのが印象的でした。社会構成主義(ナラティブアプローチ)という視点を取り入れ、悩んでいる人がストーリーとして人生を再構築するのを手伝うのが私たちの役割だと提唱しています。

廣瀬 俊朗(ひろせ としあき)氏

元ラグビー日本代表キャプテン。株式会社HiRAKU代表取締役。エディー・ジョーンズ監督に「自分がラグビー界で経験した中で、ナンバーワンのキャプテンだ」と絶賛されるほどのチーム作りの達人です。現役引退後、企業研修講師や解説をする傍ら、ドラマ【ノーサイド・ゲーム】にて俳優デビュー、ニュース番組【Zero】に出演中と多彩な活躍で知られています。廣瀬さんのメンバーを大切にする姿勢は組織内で活躍する人にとっても学ぶものが多いと感じました。

“人間性の発揮”を企業やキャリアという実践の場にどうつなげていくのか


 1月15日当日は、このインスピレーション映像をもとに、働く企業・組織の現場にいらっしゃる4名の方々とパネルトークセッションを行います。インスピレーション映像を見て、また日々の中で感じていることをふまえ、「今、人間性や社会に何をみていらっしゃるのか?」を問いかけながら、実際働く場所でどのようにつながっていくのかに焦点を当てたいと思います。
<パネリスト>

髙﨑 隆浩(たかさき たかひろ)氏
三井住友海上火災保険株式会社 人事部 部長 兼 能力開発チーム。同社は、従業員の自律的なキャリア形成支援の取組みをおこなう企業を厚労省が表彰するグッドキャリア企業アワード受賞企業です。髙﨑さんご自身もキャリア支援者でありマネジャー教育や各種人材育成を担当されています。様々な経験を重ねてきた髙﨑さんの目から見た人間性とは?望む未来とは?

世羅 侑未(せら ゆみ)氏
プロノイア・グループ株式会社 CCO兼コンサルタント。企業の組織/事業開発に従事しながら、慶應SDM研究員としてフロー状態を研究。年齢に関わらず天性の才能でビジネスインパクトを生み出せる人がいますが、世羅さんはそんな一人です。これからの時代のリーダーとして世羅さんの見る未来に興味を持っています。

髙木 一史(たかぎ かずし)氏
サイボウズチームワーク総研講師。髙木さんがnoteに書いた「ぼくはなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか」は多くのメディアで拡散され、大変話題になりました。参照:「僕はなぜトヨタの人事を3年で辞めたのか」。東京大学教育学部卒業後の髙木さんが、今でも大好きなトヨタに感じた閉塞感の正体とは?そして、サイボウズで見たものとは?閉塞感と人間性がどうケミストリーを起こして髙木さんの言葉で語られるのか、楽しみにしています。

神田 義輝(かんだ よしてる)氏
株式会社Criacao(クリアソン)・社団法人Work Design Lab理事、J2リーグ水戸ホーリーホック取締役。アスリートを対象としたキャリアサポートの第一人者。神田さんは、人の可能性の発揮、個々人が活かされる組織作りをテーマに自ら経営者としてアスリートの組織を率いています。誠実なお人柄からも、苦しみも希望も抱えた多様な人が神田さんの周りに集まってくる理由が分かります。
以上、みなさんと共に、2021年、変化の時代の幕開けに相応しい対話のひと時を過ごせましたら大変幸いです。心の磁石が動くキーワードがありましたら、ぜひいらしてください!
開催日時 2021年1月15日(金)15:00~17:30
参加費用 2,200円(税込)
開催方法 オンラインでの開催を予定しています。参加にあたって、ダイアログに参加される方はZoom ミーティング、視聴のみを希望される方はYouTube Live。2通りの参加方法をご用意しております。ご希望の方法をご指示ください。
<キャリアのこれから研究所の「これから」>

「働くに自分らしさを。誰もが夢中になれる社会を」

 日本マンパワーは、50年以上人材開発・キャリア開発をテーマに事業を営んできた会社です。他の歴史ある会社と同様に様々な物語を抱えています。ビジネスのライフサイクルや人材の入れ替わり、時代ごとの文化の移り変わりも味わってきました。50年経ち、社員が対話で紡ぎあげたビジョンがこの言葉です。
「働くに自分らしさを。誰もが夢中になれる社会を」
この言葉にはあえて定義を添えていません。
 働くとは何か?
 自分らしさとは何か?
 「誰もが」とは、どこまでの誰を指すのか?
 夢中になれる社会とは?
多くが謎のままです。なぜ定義を添えなかったかと言うと、この問いを一人ひとりが自分なりに考え、社内外のみなさんと一緒に対話し続けていきたいからです。
対話は私たちに、「問う力」と「考える力」、「つなげる力」、そして「未来を生み出す力」を与えてくれます。「キャリアのこれから研究所」の設立には、この問いをもとに世界中のみなと考え、探求し、個々人の物語を語り、誰もが夢中になれる社会の一歩につなげたいという願いを込めています。みなが発信し、対話できる「場」であり続けるためにも、ぜひみなさまのご参画をお待ちしています!