MENU

キャリこれ

<キャリアコンサルタント有資格者インタビュー> 「組織開発から人の生き方を支援するプロフェッショナルへ(後編)」

インタビュー

個人

2021.7.14

大手総合教育機関の人事部で働いてらっしゃる樋口 智行さん。
インタビュー前編では、キャリアコンサルタント資格取得のきっかけとなった3つの転機、講座で得たものについてお伺いしました。
■インタビュー前編は こちら
インタビュー後編では、キャリアコンサルタント資格取得後の変化、資格取得後に次の目標となった「組織のイノベーター」、今後取り組みたいことなどをお伺いしました。

●資格取得後の変化

自分自身がキャリアコンサルタントになって、まず手をつけたのが、学生との面接のあり方です。今までの自分のやり方がひどかったなって思ったんですよ。
「人のことが全然わかっていないのに、どうしてこんなに分かったつもりでいたんだろう」って、心をえぐられるような気持ちになったんです。
このキャリアカウンセリングスキルを、しっかりと面接の中に落とし込んでいかなきゃいけないと思いました。相手のことを全然理解できてないのに、会社として合う・合わないを判断してる時点で、おかしいなって思ったんですよね。落とし込むことで、面接の質をしっかり高めていくことがとても大事だなと思って、そこからスタートしました。
最初は自分で実践をしながら形をちょっとずつ作り始めたんです。次は部下にキャリアカウンセリングのロールプレイとかスキルとかを自分でいろいろ教えていって実践をさせていきました。
教えていく中で面白かったのは、実践の中でスキルを身に着けて対話をしていくと、相手との関わりの深まりが本当に変わるんですよ。これは私もそうでした。部下たちもそれを実感して、「あれ、これってすごいじゃないか」って思い始めるんですね。
結果何が起きたかっていうと、面接した学生の返ってくるコメントやフィードバックが急激に変わったんです。
学生のほとんどが「他の会社の面接もたくさん受けてきたけど、こんなに自分のことをちゃんと話せて、聞いてくれた会社は他になかった。それが、自分がこの会社に入る決め手になった」って言うようになりました。これは、めちゃくちゃ変化があったと思うんです。
もちろんそのためにやったわけじゃないんですよ。ただ、相手のことがちゃんとわかって、私達のことをちゃんとわかってもらって、初めてうまくいくと思うんです。採用って結婚みたいなものですから。
面接自体が変化していって、採用の成果も変わってきました。成果が変わってくると、上司からもなんでこんなに変わってくるのって話になって。実はこういうことを勉強してこういうことをやってきたからです、ってなると、「なんか樋口が勉強してることって意味ありそう」みたいな雰囲気になってくるんですよね。
そうすると、僕がやりたいって言うことを上司が応援してくれるようになって。部下たちも自分たちで実践してその意味を感じているので、要は味方が増えていくというか。自分の周囲でキャリアや、カウンセリングというものに対しての意識が少しずつ高まっていったんです。

●組織のイノベーターへ

キャリアコンサルタントになってから、次の目標を見つけたいと思って、筑波大学のキャリアプロフェッショナル養成講座に行ったんです。そこで気づいたことがありまして。
それまで自分の中ではキャリアカウンセリングって1対1、目の前の相談者を支援していくという視点しかなかったんです。
キャリアコンサルタントしてあるべき姿はなんだろうと考える中で、組織開発していくってことは、実はキャリアコンサルタントとしてやっていかなくちゃいけない大事なことなんじゃないのかって、気付けた。組織全体も、要は個人の集まりだし、逆にこれをしっかり変えていくことができたら、一人一人の働く人のキャリアも変わっていくわけですから。それで、卒業する頃、「組織のイノベーターになる」っていう目標を立ててからは、組織開発の提案を会社にどんどんするようになりました。
例えば、会社も1人の人だと思ったときに、まずは自分自身どういう状態かを知る必要があるなと思ったんです。社員満足度調査ってあるじゃないですか。当社もやるべきだなと思って、会社に提案し、実際に導入しました。カウンセリングと同じで、組織でも「現状把握と問題把握」をすることは大切ですね。
もう一つ、上司と部下の関係をしっかり変えていかなきゃいけないと思いまして面談のやり方や仕組み、そして意識変革に着手しました。もともと当社では年に2回、上司と部下が評価も含めた面談をするようになっていたんですが、何か形骸化しちゃっていて。どこでもあることだと思いますが、やっているんだけど、上司から一方的に要望を伝えるだけ、とか、5分ぐらいちょっとよもやま話で終わっちゃうとかね。
カウンセリングじゃないけど、30分なら30分、1時間なら1時間、互いの理解と成長のための時間にしなきゃいけないと思い、そこに着手しました。
こういった提案を受け入れてもらえるようになったのは、やっぱりキャリアコンサルタント資格をとったことがきっかけかなと。勉強していく姿を見てもらって、それを実際の仕事の中でアウトプットしていく中で、信頼してもらえるようになった、そこが大きいのかなというふうに思っています。

●これから実現していきたいこと

いわゆるメンター制度っていうのが今まであったと思うんです。それを先輩社員に後輩社員が1人くっつくみたいなものではなく、先輩社員が複数、後輩社員も複数いて、ここがクロスオーバーしていくような新しい形でつくっていきたいなと思っています。
私が養成講座に出た時や、キャリアコンサルタントの資格を取る時にも感じたんですけど、仲間と議論したりとか、仲間でフィードバックし合ったりとか、そういうのってすごく意味があったなと思っているんです。
そういうふうにしていくと、物の見方っていうのも変わったりとかね、ある人と話してるとある一方のことしか考えないけど、この人と話すと違うことを考えられたりとか。
多面的に自分のことを見れる、そういう人間関係を作っていくような新しい形で、メンター制度をこれから提案して、やろうとしているところです。

●「人の生き方の支援するプロフェッショナル」「組織のイノベーターになる」という目標に向けてこれから取り組みたいことがあればぜひ教えてください。

正直まだ具体的になっていないことばかりなんです。まず個人として言うと、人の生き方を支援するプロフェッショナルになるという目標は今も変わらないです。だけど今度はその“人”って誰を指しているのか、“生き方を支援する”ってどういうことなのかとか、“プロフェッショナル”ってそもそも何なのとかいうことを考えると、まだまだ自分の中で明確な答えは出てきていません。
自分のライフテーマそのものにしっかり問いかけを続けながら、自分の頭で考えて、そのとき本当にこれをやりたい、実現していきたいっていうものを、形にしていきたいなと思っています。
目標が今具体的になんですかって聞かれちゃうと、今ちょうどぼんやりしていて。だから今僕ニュートラルゾーンかもしれないんですけど(笑)
だけどそこを問い直し続けて、これからも具体的に形にして、行動に移していきたいなっていうふうに思ってます。
組織人としての目標は、この組織で働く社員1人1人が、働くことの意味とか価値、喜びをしっかり見いだして、本当に生き生きと働くような組織にしていきたいなって思ってます。
もちろん働く理由、働く意味って人それぞれあっていいと思うんですよ。思うんですけど、でもせっかく人間の限られた命の時間を削って働いてるので、やっぱりお金をただ稼ぐだけのライスワークじゃあ、なんかもったいないなって私は思うんですよね。
〇働くということが、「自分らしく生きている」という実感やライフワークに繋がっていくために、組織として人事として、どんな支援が社員にできるのか?
〇どういう仕組みを作っていけば、従業員が自分自身のキャリアについて色々考えていけるようになるのか?
こういったことをテーマにしながら、働く人たちの充実感・幸福感を生み出していけるような「組織としての働きかけ」を、人事の立場からもっともっとできるようになれたらいいなと、そんな目標を持って今仕事をやっています。

RECOMMENDED