《これからのキャリア発達モデル イベントレポート》 第3回 葛藤と向き合う力
連載記事
2024.11.18
「これからのキャリア発達モデル~9つのテーゼ~」の内容をご紹介するイベント 第3回目。今回とりあげたテーマは、9つのテーゼの中の『こころの成長痛を大切にしよう~葛藤と向き合う力~』です。
弊社日本マンパワー会長の田中稔哉よりネガティブ・ケイパビリティについてお話しし、キャリアのこれから研究所のプロデューサー酒井章氏の進行のもと、田中と水野がパネルディスカッションを行い、このテーマについてさらに深めていきました。
●イベント実施日 2024年8月28日
●「これからのキャリア発達モデル~9つのテーゼ~」詳細ページは、こちら
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目次
1.主催者からの挨拶
2.田中の話~ネガティブ・ケイパビリティと葛藤と向き合う力~
3.ネガティブ・ケイパビリティとは
4.対人支援の熟達者の意識
5.パネルディスカッション
(1)ネガティブ・ケイパビリティを今回のイベントテーマにしたのは?
(2)ネガティブ・ケイパビリティが世の中にこれほどの反響を呼んでいるのはなぜでしょうか?
(3)葛藤する時間の大切さ
(4)ネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルをどう生かしていけばいい?
(5)組織がネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルをどのように活かしていけばいいのか?
6.全体シェアの内容
7.クロージング
2.田中の話~ネガティブ・ケイパビリティと葛藤と向き合う力~
3.ネガティブ・ケイパビリティとは
4.対人支援の熟達者の意識
5.パネルディスカッション
(1)ネガティブ・ケイパビリティを今回のイベントテーマにしたのは?
(2)ネガティブ・ケイパビリティが世の中にこれほどの反響を呼んでいるのはなぜでしょうか?
(3)葛藤する時間の大切さ
(4)ネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルをどう生かしていけばいい?
(5)組織がネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルをどのように活かしていけばいいのか?
6.全体シェアの内容
7.クロージング
1.主催者からの挨拶
キャリアのこれから研究所 所長 水野みち
水野:キャリア自律を扱う上では、この9つのテーゼはとても大切です。弊社ではテーゼを能力(コンピテンシー)に置き換えてサーベイで実態を把握したりもしています。この9つのコンピテンシーがどのように職場環境で伸ばされるか、その関係性も見える化しています。言うなれば、水槽の中の魚を見るだけでなく、水槽の水質や環境も見て、何がどのように影響しているのかを確認しています。キャリア自律に影響を及ぼす環境を知ることで、組織としての打ち手を見出すことができます。
今回は、9つのテーゼの中の一つ「こころの成長痛を大切にしよう~葛藤を乗り越える力~」について、ネガティブ・ケイパビリティという視点からお話を進めていきたいと思います。皆さんは、「葛藤を乗り越える力」が職場の何に影響されると思いますか?ここからは、当社、日本マンパワー代表取締役会長の田中稔哉より、ネガティブ・ケイパビリティというテーマをもとに、この葛藤と向き合う力が一体何なのかについてお話いただきたいと思います。
2.田中の話~ネガティブ・ケイパビリティと葛藤と向き合う力~
田中からは、ネガティブ・ケイパビリティをテーマに、葛藤と向き合う力とは何かについてお話しました。
株式会社日本マンパワー代表取締役会長 田中稔哉(たなか としや)
田中:「相手はどんな人か」「いかに働くか」など、簡単に答えが出ないテーマがあります。しかし、多くの人はわからない状態(葛藤状態、曖昧な状態)に耐えられず、早く答えを出したくなります。その理由は何でしょうか。それは、答えが出ないでいる自分への不安から逃れるためです。
私たちの周りには前例や常識、当たり前から考えて答えがすぐに出るものと、そうでないものがあります。私の研究テーマは、支援者が人をどのように理解するのかということから始まりました。「いかに働くか」「いかに生き生きと生きるか」、場合によってはビジネスシーンで「どういう戦略を立てるのが良いのか」といったことも、そう簡単に答えが出ないことがあります。特にVUCA時代(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の中では、環境変化が激しく、正解が一定でないこともあります。それにもかかわらず、わからない状態、葛藤状態、曖昧な状態に耐えられず、早く答えを出したくなります。
そういったことはキャリアコンサルティングの面談の中でも見受けられます。その理由はいくつか考えられますが、答えが出せないでいる自分に対する不安も一つだと思います。わからない状態というのは不安です。当然、その不安から早く逃れたいと感じるため、早く答えを出したくなります。また、「答えが出ないのは問題である」「当然答えが出るべきだ」と考えることもあります。そのため、答えが出ないのは自分が未熟で、知識や経験が足りないからだと感じ、早くそれを補わなければならないという思いが生じます。これは向上心に繋がる大事なことですが、焦って答えを出してしまう原因の一つでもあります。
教育の中で、これまでの経験をフル活用すれば答えが導けるという考えが強調されてきたかもしれません。また、明確なゴールを設定し、それに向かって不足している部分を補いながら行動計画を立てて邁進することが求められてきたかもしれません。
3.ネガティブ・ケイパビリティとは
田中:ネガティブ・ケイパビリティとは、不確実さや不可解さ、自分の中にある疑問を簡単に解決しようとせず、答えを求めずにただそこに留まる力を指します。その中で、自分の考えを保留し、今まで持っている枠組みを横に置いて相手を観察したり、状況を見たりしていると、本当に相手が何を考え、感じているのか、何が起きているのかが見えてくることがあります。
ネガティブ・ケイパビリティとは、早く答えを出すことに対してネガティブなわけで、保留状態を良しとすることです。「わかった」と簡単に結論づけず、自分の枠組みにとらわれないように意識し、他者や周囲で起きていることを感じ取ろうとすることが共感に繋がります。大事なことは、思考停止になって何もしないという意味ではありません。だから、この言葉を「このままでいいんだ」と言い訳に使われると困るのですのですが…。そうではなく、必死に考え続ける状態をキープするということです。このことをお伝えしておかないと、諦める感じになってしまいますが、そうではありません。
前例が通用しないようなコロナ禍が代表的ですが、予測不能な課題に対して有効です。スキルや知識を学ぶというよりは、自分のあり方を見つめ、自分には無知の領域がたくさんあることを意識する必要があります。
一方、ポジティブ・ケイパビリティは問題解決力です。効率的・合理的に前例や経験則を使って判断する力で、前例が踏襲できるような課題に対しては有効です。知識やスキルなど、今までのものを学ぶことも有効だということです。
4.対人支援の熟達者の意識
田中:対人支援の熟達者に対してインタビューをし、彼らがどのような意識でいるかについて調べました。以下にいくつか代表的なものを挙げておきたいと思います。
〇問題は成長のきっかけになる
問題というものは成長のきっかけになると捉えています。悪いものと考えていません。
問題というものは成長のきっかけになると捉えています。悪いものと考えていません。
〇相談者は固有の尊厳のある存在であり、経験則や一般論を当てはめない
人は、今までの経験則では理解しがたい固有の存在であり、再現性がない感情が出てくることがあります。そうした感情を当てはめず、自分の見立ても慎重にし、バイアスを外すことが大事だと考えています。
人は、今までの経験則では理解しがたい固有の存在であり、再現性がない感情が出てくることがあります。そうした感情を当てはめず、自分の見立ても慎重にし、バイアスを外すことが大事だと考えています。
〇相談者を完全に理解することはできないが、それでも関心を維持し、わかろうとし続ける
「わからない」という諦めを受け入れつつも、だからこそ関心を持ち続け理解しようとする姿勢が大切です。
「わからない」という諦めを受け入れつつも、だからこそ関心を持ち続け理解しようとする姿勢が大切です。
〇相談者は複数の感情や考えを同時に持ち、かつ変化する
人の言葉をそのまま受け取ると、忖度や嘘が含まれていることがあります。そのため、発せられた言葉だけで理解するのは早合点になる可能性があります。「大丈夫」と言った人が本当に大丈夫かどうかは、その背景まで考えないとわかりません。人は複雑であり、同時に悲しみと怒りを持つことも、喜びとつらさを感じることもあります。そのため、一言で説明するのは難しいです。また、その環境に応じて変化していく存在であることを意識しています。
人の言葉をそのまま受け取ると、忖度や嘘が含まれていることがあります。そのため、発せられた言葉だけで理解するのは早合点になる可能性があります。「大丈夫」と言った人が本当に大丈夫かどうかは、その背景まで考えないとわかりません。人は複雑であり、同時に悲しみと怒りを持つことも、喜びとつらさを感じることもあります。そのため、一言で説明するのは難しいです。また、その環境に応じて変化していく存在であることを意識しています。
〇相談者の願いの実現可能性を評価しない
対人支援特有かもしれませんが、その人の願いが実現するかどうかをこちら側で判断しないことです。
対人支援特有かもしれませんが、その人の願いが実現するかどうかをこちら側で判断しないことです。
〇自分のバイアスの存在や無意識に避けたくなるテーマについて意識し対処している
自分のバイアスや無意識に避けたくなるテーマに対して意識し、それに対処しています。
自分のバイアスや無意識に避けたくなるテーマに対して意識し、それに対処しています。
〇自分の成功体験をあてはめることに対する慎重さ
対人関係の経験について、例えばある部下をうまく育てられたとしても、その成功体験を他の人に当てはめることに対しては極めて慎重です。
対人関係の経験について、例えばある部下をうまく育てられたとしても、その成功体験を他の人に当てはめることに対しては極めて慎重です。
私の方からは、冒頭のネガティブ・ケイパビリティについての話は以上です。
5.パネルディスカッション
田中の話の後は、キャリアのこれから研究所 ディレクターの酒井章氏の進行のもと、田中、水野、酒井氏の3名でパネルディスカッションを行いました。
※下の写真は、左から酒井氏、田中、水野
※下の写真は、左から酒井氏、田中、水野
酒井さん(以下敬称略): ここからは、田中さんと水野さんとの対話の時間にしていきたいと思います。私自身は、これからのキャリア発達モデルの開発に少し関わらせていただき、このキャリア発達モデルに基づく9回の連続イベントの企画やパネルの進行も担当しています。
(1)ネガティブ・ケイパビリティを今回のイベントテーマにしたのは?
水野:キャリア自律において、葛藤は不可欠なものだと思っています。昔から葛藤は存在していましたが、なおさら葛藤を味わうことを想定しておく必要があります。過去の経験則がうまくいかないだけでなく、社内のルールもどんどん変わっていきます。矛盾やパラドックスだらけの時代において、葛藤に慣れること、悩むことを歓迎する姿勢は不可欠だと感じています。
また、葛藤のもとにある課題には2種類あります。一つは道具的な課題です。テクニカルな課題とも言われます。一般的な正解がある課題であり、世の中にあるマニュアルで解決できるようなものです。例えば、職務経歴書の書き方など、インターネットで調べればすぐにわかることです。一方で、キャリアにまつわる多くの課題は、自分と結びついた発達を必要とする課題です。それらは外側に答えがなく、自分が向き合わなければならないものです。挑戦を選ぶのか、安全を選ぶのか、自分の欲求を選ぶのか、周囲の期待に応えるのか、などです。これらは自分が人として発達するために必要な葛藤を伴う課題とも言えます。
そういった課題と向き合うためには、ネガティブ・ケイパビリティが非常に大きな鍵となります。すぐに答えを出さないことで、課題を何度も咀嚼し、成熟が促されることがあるからです。
酒井:水野さん、ありがとうございます。今おっしゃったように、現代では答えのない問題が増えている時代だと思います。田中さんは社会人大学院で学ばれ、ネガティブ・ケイパビリティを研究テーマとされ、先日『対人支援に生かすネガティブ・ケイパビリティ』という本を出版されました。そもそも、田中さんがネガティブ・ケイパビリティに関心を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?
田中:私はご存知の通り、2000年から水野と一緒にキャリアカウンセラーの養成に関わってきており、プログラムもずいぶん充実させてきました。ただ、研修を続けている中で感じるのは、経験則や自分の中にある価値判断で、どうしても相談者を判断してしまう傾向が残る方々がいるということです。傾聴姿勢を技術だけで身につけるのは難しいと感じています。カウンセリング姿勢の3大原則である受容・共感・一致も教えますが、簡単に身につくということはなかなかないと思うのが自然です。
大切なのは、傾聴を身につける以前の姿勢として、自分が「分からない」ということを一度受け入れる必要があるのではないかということです。そこで昨年より、養成講座の中にネガティブ・ケイパビリティのワークや概念を組み込みました。
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(2)ネガティブ・ケイパビリティが世の中にこれほどの反響を呼んでいるのはなぜでしょうか?
田中:答えが出づらい、そもそも簡単に出ない。非常に多くの答えが存在する。そういった世界の中で、「それでも答えを出せ」と言われている状況があります。答えを出さずに考え続ける状態を維持することが大事なのです。例えば、高校生の進路に関する講演を私が行うと、高校生には非常に響くのです。「志を立てよう」「夢を持とう」「好きを仕事にしよう」といったことだけが与えられると、非常に苦しむ人たちがいるのです。社会環境的に多様性が尊重され、歓迎される中で、「それも答えでいい」「それもありです」という考え方が社会で言われるようになっています。そのため、一人ひとりの答えが違うわけですし、先の見えない出来事が今のビジネス環境でも起きています。
そういった中で、一旦答えを出すとしても、それを仮決定として葛藤状態を保ち続け、「本当にそれがいいのか」と考え続けることが大事だと感じられているのではないかと思います。
(3)葛藤する時間の大切さ
水野:私は人事の皆様と一緒にお仕事をさせていただくことが多いのですが、各種施策において、社員を葛藤させないように、失敗しないように先手先手で対応したり、悩まないように手を差し伸べたりする風潮があるようにも感じます。「悩ませたことで、辞められたり、不満を持たれたりしては困る」という意識があるとなおさらだと思います。しかし、だからこそ、悩むことの価値を伝えていくことも必要なのかもしれません。マネージャー、経営者、人事としても、本来は葛藤する時間の大切さを十分ご存知なのではないかとも思っています。
これは実は自分自身への戒めでもあります。子育てにおいても同様で、子供が苦労しないようにと先手先手で対応しがちな親は少なくないと思います。しかし、本当に社員や子供のことを思うなら、自分自身の信じる力や、ネガティブ・ケイパビリティを伸ばすことが相手の成長に繋がるのだということを、今一度見直すべき時代なのかもしれません。
酒井:ありがとうございます。今水野さんがおっしゃったことは先ほど田中さんが話したことに通じますね。仕事の現場だと問題解決をしたがるのでポジティブ・ケイパビリティにどうしても偏ってしまいがちです。ネガティブ・ケイパビリティも大事、つまりポジティブ・ケイパビリティとの両利きであることが大事だという事例ですね。
今度は個人が、ネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルを、どのように葛藤の大きくなった時代の中で生かしていくべきかについて、お話をお聞きしたいと思います。田中さんいかがでしょうか。
(4)ネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルをどう生かしていけばいい?
田中:自分の今までのやり方やスキルが通用しないような環境に身を置いてみることが大切です。普段付き合わない方々や、酒井さんが専門かもしれませんが、越境してみることも一つの方法です。そんな大げさなことでなくても、普段行かないような場所や、付き合わないだろうと思う人たちとの接点を持つことが重要です。自分の当たり前で判断していると、分からないような領域がたくさんあることに気づくことですね。
酒井:田中さんご自身は、今までどのような越境経験がありましたか?
田中:以前、地方自治体の中で働いたことがありますが、そのときに常識がずいぶん違い、かなり面食らいました。また、アーティストの人たちとの接点もありました。役者さんや芸術活動をしている人たちの発想は、ネガティブ・ケイパビリティに近い感じがします。彼らは左脳で考えていないというか、感覚を大事にしているのが新鮮でした。
水野:例えば、ある経験で驚いたり傷ついたり揺らいだりしている。または苦しさを感じている。そういった気持ちをしっかりと味わいきることが実はとても大切だと思います。痛みを成長に変えるというのは、少し綺麗すぎる表現かもしれませんが、今苦しい中にいる自分は何かに気づく機会かもしれないと捉えることで、その苦しさに居続けることができるのではないでしょうか。
最近よく言われるマインドフルネスでも、自分自身への気づきや、体や心がどう反応しているかをしっかりと感じることも重要だと言われています。そうした力は、これから企業内でも必要になってくるのではないかと考えています。
酒井:水野さんご自身ではそのような体験っていうのはありましたか。
水野:はい。私はもともと、ポジティブ・ケイパビリティが強いタイプでした。あいまいさに居続けるのが苦手で、すぐに解決し、行動し、前に進んで事を成し遂げることが自分の原動力となっていました。一見すると達成感があり、良いことのように思えます。しかし、自分のすべての気持ちを引き受けないと、どこか統合感に欠けてしまうことも経験しました。そして、外側は強くふるまうのに、逆に心は葛藤に対して弱くなっていく感覚がありました。
そんな中、自分と深く向き合うきっかけを得ました。葛藤や脆弱さ、コントロールができない状況に向き合うというのはとても居心地の悪いものでした。しかし、専門家のサポートもあり、深く向き合ってみると、壊れるどころか、見たくない自分も受け入れる強さを持てるようになりました。それは、自分への自信になったと思います。評価や判断なく、急がずに、聴いてくれる相手がいたことは大きかったです。
(5)組織がネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルをどのように活かせていけばいいか?
酒井:今度は、組織の中でいかに個人が葛藤を乗り越えるためにネガティブ・ケイパビリティのマインドとスキルを生かしていったらいいかについて、田中さん、お聞かせいただけますか?
●人類への希望、人への希望
田中:葛藤や苦しさ、答えが出ない状態、自分自身が答えを出せない状態を味わうことには辛さが伴います。しかし、それを支えているのは何かというと、やはり自分を含めて、少し大げさかもしれませんが、「人類への希望」です。子供が間違えていると感じたときに、すぐに口に出してしまったり、自分で取れないものを取ってあげてしまうこともあります。それも愛情の表れかもしれませんが、待つ、見守るというのは、子供の力を信じることでもあります。
同じように、組織も、前例や当たり前から外れている状態をすぐに指摘するのではなく、少し様子を見て、希望を持って見守ることが大切です。一見、失敗や枠組みから外れている人や事に対しても、信じて少し見守る。それが時には本人にとって辛いことかもしれませんが、そこを見守れるかどうか、希望を持てるかどうかが大切だと思います。
6.全体シェアの内容
パネルディスカッションの後、参加者同士で10分間話し合う時間を設け、その後どんな内容が出たか全体シェアしてもらいました。とても深い全体シェアになりました。
以下にダイジェストでその時の話を記載しましたが、もっと詳細にご覧になりたい方は、以下のリンクをクリックしてみてください。
⇒ 全体シェアの内容は、こちら
以下にダイジェストでその時の話を記載しましたが、もっと詳細にご覧になりたい方は、以下のリンクをクリックしてみてください。
⇒ 全体シェアの内容は、こちら
参加者の方からこんな言葉が語られました
〇失敗を受け止める、リスクを許容する、柔軟に待つなどの組織の力は大切だとは思いますが、それを企業風土にするのは難しいですよね。
〇名目上は「失敗してもいいから、チャレンジしましょう」と言われていても、実際には失敗しない程度のチャレンジにしてほしいという圧力がかかっていることがあります。
〇名目上は「失敗してもいいから、チャレンジしましょう」と言われていても、実際には失敗しない程度のチャレンジにしてほしいという圧力がかかっていることがあります。
そこで田中から以下のような話が出ました
★場を切り分けてみるという方法もあるのでは?
田中:私も実際、日々ネガティブ・ケイパビリティを優先してやっているかと言われると、甚だ疑問です。でも、今聞いていて思ったのは、やはり仕事の大半、特にルーティンな仕事では、ネガティブ・ケイパビリティがあまり入り込む余地がなく、間違えないようにやる、人に迷惑をかけずに仕事をすることが重視されるということです。
それは尊重すべき話だと思いますが、扱うテーマを少し切り分けて、このテーマや課題、新規事業のプロジェクトでは失敗を許容する文化で悩みながら進めるといった形も考えられるのではないでしょうか。
通常は、多分、ポジティブ・ケイパビリティでやっていかないと難しい。しかし、バランスを取りながら、一つひとつの業務においても、個人の中で少しでもネガティブ・ケイパビリティの範囲を残しておくことができれば良いのかもしれません。
例えば、うちの会社でも新規事業については「長い目で見てやって」と言いますが、会社全体のこともありますから、業績も無視できません。それこそがまさに経営が向き合うネガティブ・ケイパビリティだと捉えて、この葛藤も含みながら、急いで白黒をつけずに葛藤の中で揺らぐ余地も必要なのかなと思いました。
チャットに書き込みをしてくださったUさんからは「人間だからできる仕事」と、このことを書かれた背景が語られました。詳しくは「全体シェアの内容」をご覧ください。
⇒全体シェアの内容は、こちら
7.クロージング
酒井:本日はどうもありがとうございました。私自身も改めて田中さんのお話や皆さんとの対話を通じていろいろと考えさせられる時間になりました。今日一番心に残ったのはネガティブ・ケイパビリティのことを「人への希望」とおっしゃった田中さんの言葉でした。
田中:本日は皆さんご参加いただき、ありがとうございました。
水野:また次回お会いできますこと、来月でお会いできますことを楽しみにしています日程は追ってご発表をお送りさせていただきます。今日はありがとうございました。
プロモーションイベントの運営・実務を担当。趣味は読書といけばな。最近、涙もろいのが悩みです。