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《 連載スタート 》ジョブ型雇用とキャリア -その“なぜ”を問う-

連載記事

2022.2.15

ジョブ型ヒートアップ

「ジョブ型ヒートアップ」。あるキャリアの専門家が現在の状況を言い表した言葉です。いま、この話題を眼にしない日は無いといっても過言ではないでしょう。
ジョブ型とメンバーシップ型という概念は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏(労働政策研究所長)が提唱しました。日本以外の社会では、労働者が遂行すべき職務(job)が雇用契約に明確に規定されているのに対し、日本では雇用契約上、職務が規定されていないことから、その本質を会員/成員(membership)と定義したのです。いま、この言葉が再度脚光を浴びているだけではなく、多くの企業がいわゆる「ジョブ型」の導入を加速させています。
経団連は去る1月、2022年の春季労使交渉に臨む経営側の方針の中でジョブ型雇用について「主体的なキャリア形成を望む働き手にとってジョブ型雇用が『魅力的な制度となり得る』~中略~各企業が自社の事業戦略や企業風土に照らし、ジョブ型の導入・活用を『検討する必要がある』」と述べました(日本経済新聞1月18日)。
その背景にあるものとして、潜在的に抱えていた働き方やキャリアの課題が新型コロナというインパクトによって露(あらわ)になったことが、ひとつの要因として挙げられています。
議論も白熱しています。ジョブ型やメンバーシップ型の解釈を巡るもの、長らく欧米を追随して来たとする日本の人事制度への警鐘を鳴らすもの、あるいはジョブ型導入の指南書といった書籍が次々と出版されています。しかし、その多くが制度を巡って自説を主張する「空中戦」に留まっており「ジョブ型」という言葉によって表現される背景や、働く一人ひとりの目線に至っていないとも言えます。

なぜ、いま「ジョブ型」なのか?

なぜ、いま「ジョブ型」なのか?
そこには、大きな変化に直面し事業変革や制度変革を「待ったなし」で進めることを余儀なくされる企業が置かれた事情があります。そして、個人が専門性を高め自らスキルをアップデートして行く時代に本格的に突入する中、ともすれば人材育成とは別軸で行われていたキャリア開発が「経営課題」となりつつある現場の姿が浮かび上がって来ます。
キャリアのこれから研究所では、あくまでも個人がより良いキャリアを形成するというスタンスに立って、この現象を多角的に検証し、「ジョブ型」導入を求められている、あるいは関心を持っていらっしゃる方に、言葉に囚われずその本質を考えて頂くための視点を提供します。
その趣旨のもと、連載第2回目以降は、キャリア政策、グローバル企業、プロフェショナルファームの現場でこの課題に相対している方々にインタビューを行うとともに、AIやブロックチェーンなどのテクノロジーやISO30414などの人的資本経営の最新状況をレポートしていきます。是非、ご期待ください。
次回第2回目は、3月22日(火)にアップします!

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